今日は、KIMONO RIOT でも販売予定である墨流しの製作工程を追ってみましょう!
(先日がんばって撮ってきました~)
まず最初。反物より少し長め約14mの水槽を用意し、水を張ります。
普段は引き染め(刷毛で反物を染めていく作業)なども行うスペースのため、
水槽が邪魔にならないよう組み立て式になっており、コンパクトな状態で保管されています。
墨流し用に組み立てたら水を張ります。
深さはほんの5センチ程度ですが、このぐらい長いと想像以上に水量を使います。
水を貯めているうちにその日染める墨流しの色を整理し、染料の色出し。
これがなかなか難しいです。
なぜかというと墨流しは水に染料を落とし、柄を作って転写する染めなのですが、
水に落とした途端、大きく分散し、濃い色もたちまち薄くなるからです。
薄くなったらどんな色になるかを、感と経験を頼りに計算します。
準備ができたらいよいよ水面に染料を落としていきます。小柄、中柄、大柄、
どんな柄に収めるか頭でイメージしつつ柄作りに入ります。(写真は僕の師匠です)
基本の墨流しは連続柄になっているので、一定のリズムで落としていくのがとても大事です。
この地味な作業を数歩ずつ丁寧に続けていきます。
水面では色と色とが混ざり合うことなく、弾き合うことで柄に表情が生まれます。
最初はごく薄い色ですが、落とせば落とすほど色が寄せ合い、濃色へと変化していきます。
だんだん柄に表情が出てきましたね。
次にこちら。
墨流しの秘密兵器。「くし」です。
先日、三越の関係者が取材に来られ、「この道具の名前は?」と聞かれたのですが、
「くしです。」としか言いようがありませんでした(笑)
「ではその隣の細かいくしの名前は?」と聞かれ、「細かいくしです。」と答えました。
それしかないからです(笑)
道具は全て手作り。このような特殊な染めの道具が、道具屋さんに売ってるわけもないので、
ひとつひとつ染めの種類に合ったものを作ります。
壊れたら次の日には新しいものを作れるので、自分で作れるというのは大変便利です。
ちなみに他に「ひも」「棒」という道具があります。名前は全てとてもシンプルです!
「くし」や「棒」で柄を動かすと、さらに墨流しの表情が出てきます。
道具の動かし方や形でいく通りもの種類が出来るのが墨流しの面白いところです。
柄を作っている間に染める用の白生地を張ります。
(反物を張っているのは師匠の弟。僕の2人目の師匠です。)
柄が動かないうちに素早く転写作業に移ります。
反物の端と端を持ち、息を合わせて一気に転写!!
ハッ!!
スパッ!
再び息を合わせて染まった反物を引き上げます。水を存分に吸った反物。これが重いです。
少しでも息がずれるとすぐにムラ染めになってしまうので、この瞬間が一番緊張し、気持ち良いです。
染まると一瞬で生地に定着するのでこのまま乾かします。
以上、意外と知られていない墨流しの現場でした!
(何気に写真ぎらいの師匠たちを強引に撮影するのが一番の苦労でした(笑))
これから20日まで色んな柄や色をノンストップで染めていきます。お楽しみに!
※KIMONO RIOT 当日は墨流しのワークショップを行います!
ハンカチへの墨流し体験
< 開催日時 > 各日 13時~14時 16時~17時
< 費 用 > ハンカチ一枚につき1620円
※予約制ではありません。当日、開催時間には会場にお越し下さいませ。
エプロン・割烹着等、衣服をガードする者をご持参下さい。